高校入試英語 長文読解・得点力アップのために意識すべきこと

一昔前の入試と比べて近年の入試では、英語の長文問題の難易度がかなり高くなっています。内容が読み取れるだけで満点が取れるわけではなく、読み取った内容をベースに思考・判断し、さらにはスピーディーに設問を解かなければなりません。そこで、今回は英語の得点が伸び悩んでいる受験生に参考になるよう、長文の勉強方法を中心に説明いたします。

 

1.英語の長文で高得点を取るためにやるべきこと

長文が出来ないから長文の勉強をするは間違い?

高校入試の英語で長文の配点割合は高いです(神奈川県では1問5点)。苦手なままにしておくと、高得点は望めません。「長文が苦手だな~」と思われている人も少なくないと思います。では、どのようにして長文の勉強をしていけば良いのでしょうか?

まず、いきなり長文から学習しても長文問題は解けるようになりません。長文問題が解けるようになるには、①文法はしっかり身についているか?②単語・熟語を覚えているか?まずは以上の2点を確認しましょう。①については文法テキストを使い学習し、②については学校教科書に出てきた単語・熟語をしっかり覚えましょう。①②ともに一朝一夕ではできません。毎日コツコツと取り組みましょう。また、1・2年生は、3年になって①②で躓かないように早めに取り組みましょう。

 

長文は一朝一夕ではできません。計画を立てて取り組もう!

そして単語や文法をしっかり定着させるには、日々継続して取り組むことが大事です。間隔をあけて一度に長時間取り組むより週3日以上は確保して勉強をしていく方が身につきます。ただ、学年が上がり受験に近づくにつれて、毎日やっても時間が足りなくなる場合もあります。その場合には、受験日から逆算してスケジュールを立てていくことが必要です。中学生になる前の小学生や中学1年生の時期から計画的に単語や文法を学ぶ習慣をつけておけば、高校入試を迎える時に理解できている範囲も多くなり、スムーズに長文読解の訓練を進めることができます。中3の受験期には各都道府県の入試問題の長文問題を解いてみて、答え合わせの後精読を行うといったいわゆる「長文読解の学習」を行えるわけです。

文法や単語・熟語の学習を怠っていれば、当然この「長文読解の学習」には入れません…。

 

ワンポイントアドバイス:国語も出来れば英語も出来る?

  先にも述べましたが、長文読解では単語や文法などをどれだけ理解出来ているかが鍵を握ります。覚える英単語・熟語の数を増やす際に、知っている日本語の語彙数が少ないと,英単語の意味を日本語で言われたとしても,それが理解できなくて覚えられないということにもなりかねません。英語ができるようになるには、国語もしっかり学習して、使える言葉の数を増やしてくこともポイントです。

 

2.長文の勉強法…ポイントは「精読」

先に述べた通り、長文読解でまず大切なのは、文法と単語・熟語をとにかく覚えることです。黄学館では中1から学校教科書の単語テストや、教科書本文の英作文テスト行っています。黄学館に通っていれば、ある程度計画的に文法と単語・熟語の学習は行えます。もちろんこれに頼り切らずに、定期的にかなり前に学習した内容の復習を自主的に行うように指導しております。

ここまでの説明で「とにかく暗記をして数をこなせば良いだろう」と思われた人もいるのではないでしょうか?しかしそれだけでは、高校入試で確実に点数を取ることはできません。勉強をする際にもうひとつ取り組んでいきたいのが、英文の精読(細かい所までよく注意して読むこと)です。精読では、一文一文に注意を向け、どんな文法が使われているのか、主語はどこまでか、前置詞を含んだ修飾句はどれか、接続詞はどれかなどを確認しながら、英訳をしていきます。これを過去問や模擬試験,普段の長文読解演習が終わるたびに行うことで、だんだんと長文をしっかり読みこなすことができるようになります。そして、文章の流れが理解できるようになることで設問が解けるようになります。時間と労力がかかる勉強法ですが、きちんと取り組めば、必ず効果が出ます。

 

長文の勉強法は精読

 

3.入試本番に長文問題を時間内に解くために…まずは設問から!

次に、入試で英語長文の問題まで時間内に終わらせるためのポイントを説明していきたいと思います。入試では、自分が感じるより早く時間が経過していきます。それは心の焦りなどからくるもので自分が学んできたものを100%発揮できない可能性もあります。そのようなシチュエーションで長文を隈なく読んで解答をしていくという時間が確保できる保証はありません…。 

公立高校入試の長文問題の多くは、選択問題です。試験中はまずその選択肢に目を通し、どんな内容の長文なのかを推測し、解答に必要な個所をしっかり読んで答えを出すようにしましょう。また、その中でも内容の正誤を問う選択問題などは、選択肢に内容を要約した選択肢が入っている(もちろん誤った内容の選択肢もあるが)ので、出題されている長文がどのような内容なのかを推測するのに大きく役立つはずです。

以上のように本番ではうまく選択問題の選択肢を利用して効率よく解くことが大切です。

では、普段の学習ではどうでしょう。普段の学習でも、長文問題を解く際には、本番の試験中を意識して、上で述べた方法で解くようにしましょう。そして、答え合わせ・見直しをする際には、前項でお話しした「精読」をきちんと行いましょう。ただ、ほぼ全問正解して、長文の内容をある程度把握できたのなら、「精読」は省いてもいいと思います。「精読」はあくまでも長文読解が苦手な人がやるべきで、すらすら読めている、きちんと得点できているのであれば必要ありません。むしろその分の時間を他の分野の弱点の克服に使うべきです。受験勉強の時間には限りがあるので、勉強時間の「選択と集中」をしっかり行いましょう。

 

4.解けなかった原因を見誤らないで…

過去問や模擬テストを解いた生徒に、何が出来なかったのかを尋ねてみると,生徒の中には「長文が出来なかった」と答える生徒がいます。しかし、その生徒の解答用紙を確認してみると、長文問題の解答欄に空欄が多くありました。本人にこの空欄について聞いてみると「文法問題に時間がかかってしまい長文の問題が途中までしか解答できなかった」という答えが返ってきました。

この場合、長文問題が解けなかったのは、長文問題よりも前に出題されている文法問題に時間がかかり過ぎていたことが原因だとわかります。本人はテストで点数が取れなかった原因を長文問題が終わらなかったから分析していましたが実際には、文法問題を解くスピードが遅かったことが原因で点数を落としていたことになります。このように分析を見誤ると、的を射た対策を行わないまま入試本番を迎え、入試でも同じ結果を招くことになります。時間をかけて勉強したにも関わらず、分析を見誤ったまま勉強してしまうと、入試では良い結果に結びつきません。この場合は長文読解よりもむしろ、まずは文法問題をテキパキと解けていないことに原因があることがわかります。文法問題をもっと効率よくスピーディーに解いていく必要があります。そのために、自分の苦手な文法にきちんと向き合って理解し、過去問や入試対策問題集などをたくさん解いて、早く正確に文法問題を答えられるように訓練しましょう。そうすれば、文法問題での所要時間が短縮され、その分の時間を長文問題に回すことができます。また、文法をしっかり訓練したことで、文の構造もきちんと見えるようになり、長文を読むスピードも上がっているはずです。

 

今回は主に「長文問題の勉強法」をお伝えしましたが,「長文問題の克服」だけに目をとらわれないようにしましょう。最終的には「英語」の得点力を上げることが大切なのです。そのためには,上述のように,まずは得点できていない原因をきちんと分析しましょう。

受験勉強では「日々の学習方法とスケジュール立て」と「テスト中の時間配分・テクニック」の両方を意識しないといけません。これが意外と出来ていない人が多いです。そのためには、模擬試験を受けたあとや過去問を解いたあとの振り返りが大切です。模擬試験や過去問で点数がどの程度取れたかも重要ですが、しっかり分析し、「日々の学習方法とスケジュール立て」を行い、「テスト中の時間配分・テクニック」を磨いていくことが大切です。