1.自分の偏差値からどのように志望校を選べば良いでしょうか?
1-1.志望校を選ぶときの注意点
高校受験で志望校を選ぶときに、学校の名前やブランドだけで選ぶことはお勧めしません。自分が高校に行って何がしたいのかを考えて選んでください。それと共に学校の雰囲気があっているか、教育方針があっているかなども学校説明会などに足を運び総合的に判断をしていくことが大切です。
1-2.学校によって変わる指導方針。
それぞれの学校によって指導方針は変わってきます。その指導方針が自分の学力を伸ばすのに合っているのかを判断する必要があります。例えばAという高校があります。その高校は学校説明会で生徒が説明するスタイルでした。この高校は、生徒が主体的に活動する校風で、学校側も受験生たちにその校風を伝えるために、生徒たちに説明会を運営させて、これから高校受験を考えている人たちに生徒が自分たちで行動できるという雰囲気を伝えています。一方、B高校は大学受験に向けて学習も進路指導も学校が一貫して面倒をみてくれます。どちらが良いかという判断は自分の特性に合わせて選ぶことが良いでしょう。A高校の場合は、自分にしっかりと考えがあり自分で学習などの計画を立てられる人にはとても良い学校だと思います。B高校の場合は、なかなか自分で学習のスケジュールが立てられなかったり、大学受験に向けて目標が定まっていない場合などに、学校から適切なアドバイスを受けながら進められるので、B高校はとても良い学校だと思います。このように、「偏差値が高いから」「進学実績が良いから」「有名な学校だから」などではなく、自分の特性はどの学校が合うのかを検討した方が良いと思います。自分の特性に合わない学校へ入学すると、入学をしてから苦労してしまいます。なかなか自分の特性がわからない場合には、学校の先生や塾の先生に相談してみたり、もちろんご家族で話し合ってみてください。
1-3.私立も選択肢に・・・
目標としていた志望校に対して学力が足りずにワンランク下げざるを得ない状況になった場合、公立と私立の両方を視野に入れている人は、私立高校を第1志望校として考えても良いと思います。私立高校を選ぶことの一つのメリットは、公立高校と比較してカリキュラムや進路指導などの体制がしっかりしているので、ワンランク低い公立高校を選択するよりも学力を伸ばせる可能性があることです。また、大学付属校であれば、基本的には大学受験なしで大学に進学できます。ただ、私立高校を選択する場合、どうしても気になるのが学費のことです。一般的に公立高校に比べ私立高校は学費が高いです。ですが公立高校に通い大学受験のためのゼミや予備校に通うことを考えれば、同じように費用がかかってきます。それでも学費のことが心配という場合は、国や県の学費支援制度があります。このような制度を活用して学校を選択していくのもひとつの方法です。
(神奈川県の私立学校学費支援制度についてはこちらを参照してください。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/v3e/jyosei/gakuhisien/index.html)
2.志望校合格に向け、高校受験で後悔しないためにやるべきことは何でしょうか?
2-1.大学受験まで意識して勉強の仕方や学力アップができるための土台を作る
レベルの高い高校に入ったらからといって、自動的にレベルの高い大学に行けるわけではありません。高校受験はひとつの通過点として考え、ここで勉強の仕方や学力アップができる土台作りをしていくことが大切です。
そのために日頃の勉強において、できるところ・苦手なところを見極めながら勉強していくことが必要です。成績を上げられる人は、自分の得意・不得意を客観的に分析し、その点を何度も確認しながら勉強をしています。
また、ノートと教科書をただ眺めているだけでは学力は身につきません。ノートと教科書だけでなく、問題集や予想問題・過去問で演習をしながら、間違った部分がなぜ解けなかったかをきちんと追及して、「きちんと自分で納得できているか」、さらに「人に説明ができるまで理解できているか」というところまで考えて勉強をすることが必要です。その過程で、結果が出なかった理由を「知識が抜け落ちていたからか?」「応用力が無いからか?」などと分析をすることが大切なのです。
2-2.受験までに偏差値を上げ、志望校の選択肢を増やせるような勉強を
問題に取り組んだあとで、なぜ問題が解けなかったかを把握していくことは、偏差値アップのための重要なポイントです。そこを把握すれば、何に取り組むべきかが明確になります。
<偏差値を上げる学習の3つのステップ>
①知識をため込む
中1~中3前半までは、各教科の知識(基礎)をため込むようにします。
②問題の読み落としをしていないか、確認する
次に、問題を解くときに読み落としによって解答を間違えていないかどうか、確認をする習慣をつけます。また、問題をしっかり読み解けるように訓練していくことも大切です。
③応用力を身につける
最後に応用力ですが、とにかく問題を多く解きましょう。その際ワークを使って一つの単元を反復練習するのではなく(それは①で完了しているはずです)、いくつもの単元が複合した問題を解いて、自分がため込んできた知識や基礎テクニックのどれを使えばいいのかを瞬時に判断できる能力を磨きましょう。入試で出題される応用問題を攻略する上で大切なポイントは、基礎知識・テクニックを身につけること、そして問題を解く際にどの知識・テクニックを使えばいいかを瞬時に判断できるようにすることです。
2-3.技能4教科の重要性と勉強の仕方
受験勉強からは少し話はそれますが、内申点も極めて重要なので、そこにも触れておきます。技能4教科は、主要5科目と違って授業の頻度が週1回と少ない分、1回の授業での振る舞いや、実技試験の結果が内申点に大きく影響すると言えます。したがって、基本的なことなのですが、授業をしっかり受けることと、道具などの忘れ物などをしないこと、提出物の質を上げることが重要です。また、実技が苦手な場合には、できる限り練習をすることも大切です。ある意味5教科よりも、将来の生きる術にもつながると思うので、前向きに取り組みましょう。
3.受験勉強のためにしっかり内申点を獲得しよう!
受験というのは、一人の人間を極限まで数値化し、実力によって合否を判定するという、ある意味ドライな部分がありますが一方、内申書はそのなかでも唯一、本人のやる気や日々の積み重ねが評価される部分です。
3-1.定期テストや小テストをおろそかにしない
内申点を上げるためには、授業態度や提出物も大切ですが、定期テスト結果が一番大切だと言って良いでしょう。
以前にも触れましたが、定期テストで良い点数を出すためには、
①テスト前にやるべきことが整理できていること
②出題範囲など、しっかりと情報収集ができていること
③テストの日から逆算してスケジュールを立てられること
④自分のできないところや間違えたところなどの確認を怠らないこと
が重要となります。
テスト前だけの勉強では簡単に点は取れないため、日頃からコツコツと勉学に励み、来るべきテストに備えるようにしましょう。
また、普段の学校の授業内に行う小テストも内申点に響くことがあります。仮に定期テストの得点が振るわなかった場合でも、小テストでコンスタントに高得点を重ねていれば、それほど内申点を下げられなくて済む可能性もあります。逆に定期テストが良くても小テストが悪ければ、内申点が上がらないこともあります。小テストでも手を抜かないように注意してください。
3-2.委員会活動や部活動への取り組み方
委員会活動や部活動は直接内申書には影響しませんが、学校の先生たちとコミュニケーションをとる機会が増えたり、時間管理がうまくなったり、交友関係が広まったりと、得るものは大きいです。しかし、勉強とバランスをうまく取りながら行うことが必要です。
委員会活動や部活動に取り組む人は、練習や活動で時間的な拘束があるなかで通常の学業をこなしていくわけですから、しっかりと計画性をもって活動してください。こういった日々の積み重ねこそが学習を深めていく重要な要素にもなります。
また、以前にもお伝えしたように、志望校を決める際には、偏差値や大学合格実績などの数字だけを見るのではなく、自分が「本当に行きたいかどうか?」という要素もとても大切です。ですから、中学で関心を持ち、好きになった部活動が志望校にあるかどうか、またその部活動が活発かどうかなどを選択する際に考慮することも大切なのです。
3-3.通っている塾が自分にあっているか?見直してみる
塾のタイプは、一般的に大手塾と個人塾や個別指導塾に分かれます。
自分の学習の課題が自ら解決できない人は、地元に密着した個人塾などで勉強したほうが、きめ細かく対応をしてくれて、学力が伸びていきやすくなると思います。
志望校と自分の特性に合わせてどのような塾に通うのが良いか判断してください。進学実績が良いからといって大手の集団塾に入ったとしても、授業のペースについていけず、ただ通っているだけになってしまう場合もあるでしょう。その際には個別指導塾で学習するのも方法のひとつです。逆に個別指導塾ですと、周りの生徒と自分の学力を比較することが難しいので、自分の現状の学力がどれくらいなのかを把握しづらく、さらには個人個人の能力に合わせた指導を受けられる反面、進学塾(大手・個人問わず)と比べると受験指導についてはちょっと物足りない部分も出てきます。自分の抱えている課題や目標に応じて塾を選ぶことが大切なのです。
4.受験に対する不安感はどのように解消したらよいでしょうか?
4-1.模擬試験結果などをポジティブに考える
受験近くなって模擬試験などの点数が良くないとむやみに焦り、ダメかもしれないと悲観的な感情が出てしまうものです。しかし、模擬試験の結果を「自分ができなかったところが明確になった」「今の自分の力がどのくらいか把握ができた」と、ポジティブに考えてみることも大切です。そして、まだ受験まで時間がある場合は、志望校の変更など、現実的な判断をするための良い機会だと考えてみましょう。模擬試験の結果を見て良い点数が取れたからといって楽観視してしまい、その油断が原因で受験時にうまくいかなくなるという人も実際にいるわけですから。
4-2.勉強の仕方や生活リズムを変える
中学3年になったら、受験までの1年間を勉強中心の生活リズムに切り替えることが大切です。特に部活動をやっていた人は、引退する夏以降の切り替えをスムーズに行うことがポイントになります。また、高校の説明会や体験授業などにも積極的に参加するようにしてください。志望校を選択する際の参考になることはもちろん、受験生としての自覚を高めることにもなるからです。
勉強面では、行き当たりばったりの勉強ではなく、定期的に行われる模擬試験を利用することがカギとなります。模擬試験に取り組んだ後で、その結果を見ながら自分の苦手な部分を見つけ出し、とにかく課題となったところを復習していくことです。色々な問題集をただひたすら解いていくだけの勉強方法もありますが、お勧めできません。解くからには、自分の苦手な部分を意識し、間違えたときになぜ間違えたのかをしっかり復習しながら進めていくことが大切だからです。
模擬試験を自分の学習スケジュールの中にうまく組み込んで活用していきましょう。
4-3.親にも協力してもらう
中学生という時期は、小学生の頃とくらべて親との距離感が少しずつ変わっていくものです。なるべく距離を置きたい、話をしたくないと思う時もあると思いますが、会話をするということはとても大切なことです。会話によって自分一人で考えていては気づかなかったことに気づかされることが多くあるはずです。
上手に親の協力を取りつけた方が受験に対しては有利になります。受験勉強を経験してきた親がいる人は、勉強でつまずいた時にどうしたのか率直に聞いてみてはどうでしょうか?自分では思いもつかなかったアドバイスをもらえるかも知れません。
4-4.進路を相談する人の範囲を広げる
公立受験校や併願校を選ぶ時、進路指導経験の浅い先生の場合には、正しくない進路の判断が下されることがあります。なぜなら、学校では内申だけで判断するからです。実際には、模擬試験の志望校判定などで、どの程度の確率で合格できるかを判断する必要がありますが学校では、そこまでの判断はできません。
そういった場合は、塾の先生に相談したり、高校の見学会に参加してみたりして、親と一緒に正しい知識をつけ、総合的な判断で決めることが大切です。実際に志望校に通っている方や卒業生に話を聞くのも良いのですが、その場合はポジティブな情報とネガティブな情報をバランスよく聞いて参考にしないと誤った判断をする可能性があるため注意が必要です。
受験勉強とは、これからの人生のためのステップです。主体的に動いてスケジュールを立てたり、困難に突きあたったりした時にどのようにして解決をしていくか?高校受験というプロセスのなかでは、自分でわからないことは大人に聞いて取り組んでみることが重要です。これは大学受験でも同じことで、さらに社会人になった時にも同じようなシチュエーションが必ず訪れます。中学生の時期からそのように取り組んでいけば、大人になった時、自然と生きる術が身についているはずです。何も考えずに、大人やまわりの言うことだけをただやるだけという受験勉強をする人は、自ら進んでやる人と比べ得るものは少ないはずです。受験勉強を通じて身についたものは、一生の宝ものになります。受験勉強は、自分の成長を促す手段なのです。
5.高校受験に失敗はない ― みんなの体験談から
最後に、志望校には受かったけれど、受験中にそして高校入学後に苦労をしたり失敗したと思った人の体験談を紹介します。
[Aさんの場合]
英語の専門学科に入ったのですが、入学前に思っていたよりも専門的すぎて、授業について行けずに苦労しました。結果的に目標としていた大学には合格できたのですが、高校在籍時はとても辛い思いをしました。
[Bさんの場合]
自分から志望して入った学校だったのですが、いざ入学したら、思っていた以上に通学時間に時間を取られてしまいました。部活動をやるつもりで入学したのですが、通学に時間を取られ断念しました。
[Cさんの場合]
受験までのスケジュールを明確にして、受験日から逆算して勉強をしていかないと苦労します。志望校選びから自分の勉強の課題を探し出すまで、目標に追いつけないほどタイトなスケジュールで臨むとどこかに歪がくるため、スケジュールは綿密に立てた方が良いです。
[Dさんの場合]
模擬試験などで点数が取れないときに「今回はたまたま結果が良くなかっただけ」と楽観的でいることは危険です。受験が近づいて来たときにその考えのままでいると、いざ本気を出そうとしてもコツコツと自分の課題を改善してこなかったので、そう簡単には点数は上がりませんでした。受験勉強中に気づいてももう間に合わなくて志望校を変えなければなりませんでした。